『酒飲みに朗報!』-「赤ワインはやっぱり体に良い?」
昨年の後半、このコーナーでは、「○○を飲んではいけない」とか「××を食べては
いけない」というような話ばかりで、ウンザリされている方も多いかと思います。
そこで、今回は「**を飲んでもよい」というお話をさせていただきます。
その「**」とは、赤ワインです。
「そんなこと、とっくに知っているよ。赤ワインにはポリフェノールが含まれているから、体に良いんだろ」と言われそうです。
確かにそれは正しいのですが、それよりもう少し「深イイ話」を聞きたくありませんか?
「フレンチ・パラドックス」とは?
赤ワインが体に良いことが分かったきっかけは、『フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)』という現象でした。
これは昔から、食事と健康の関係を調べている研究者を悩ませている現象のことです。
フランス料理というと、ほとんどの方は高脂肪、高カロリーの料理をイメージされるこ
とと思います。
実際、フランス料理は生クリームやバターをふんだんに使ったソースに代表される、こってり系のメニューが多いのです。
では、そうした食事を日常的に続けていたら、ご想像のとおり、肥満を招くとともにさ
まざまな病気になりやすくなります。
ところが、年間の一人当たりの肉消費量はヨーロッパで一番、乳脂肪消費量も平均以上なのに、なぜかフランス人の健康状態は、ほかのヨーロッパ諸国の人たちより良いそうです。
実際の統計では、高脂肪・高カロリーの人ほどリスクが高い虚血性心疾患による死
亡率は、フランスがヨーロッパで最下位、その数はヨーロッパ諸国と比べると、イギ
リスの3分の1以下、ドイツの約半分という低さだそうです。
なぜ他国より高脂肪・高カロリーの食事をとっているのに、フランス人はそれが病気
に結びつかないのか。
それが、『フレンチ・パラドックス』と呼ばれる、多くの研究者を悩ませてきた謎でした。
赤ワインに含まれる「レスベラトロール」
実は、この不思議な現象は、長寿遺伝子「サーチュイン」がもたらしていました。
その遺伝子のスイッチを入れていたのが、何と「赤ワイン」でした。
もっと正確に言うと、赤ワインに含まれている「レスベラトロール」というポリフェノールの一種です。
これはお酒の中では赤ワインにしか含まれておらず、同じワインでも白ワインには含ま
れていません。
フランスは、世界でもトップの赤ワイン消費国です。
高脂肪・高カロリーの食事に、アルコール。
まさか、この体に悪いもの同士の組み合わせが、長寿遺伝子の発現に
関わっていたというのですから、まさに驚きの研究成果だったわけです。
赤ワインの飲み過ぎには注意!
でも、ここまで読んで「それなら、赤ワインをがぶ飲みしよう」と思ったお酒好きの方
、早合点してはいけません。
前出の齋藤先生によると、サーチュイン遺伝子を発現させるためには、飲む赤ワイ
ンの量が重要だそうです。
飲んでいいのは、「グラス1杯の赤ワイン」だけとのことです(大目に見たとしても、ワイングラス2杯までが限度だそうです)。
それ以上飲むと、アルコールによる健康被害のリスクのほうが大きくなってしまうの
で、くれぐれも飲みすぎには注意してください。
基本的にアルコールが体にとって毒であることは、たとえ赤ワインであっても変わりありません。
実を言うと、赤ワインでなくてもいいのです。
レスベラトロールは、ぶどうの皮に含まれているポリフェノールなので、ぶどうを皮ごと搾ったジュース(赤いぶどうジュース。透明なタイプには含まれていない)を飲むと、赤ワイン同様の効果が得られます。
但し、市販の濃縮還元ジュースは新鮮ではないので、あまりお勧めできません。
他の身近な食材でレスベラトロールを含んでいるものでは、落花生の薄皮がありま
す。
渋みもあり、そのまま食べるのはあまりおいしくないかもしれませんが、「野菜
や果物は皮ごと食べるのが良い」というのが理解できます。
まとめ
余談になりますが、齋藤先生が考える最強の洋風料理は、カル二チンを多く含むラ
ム肉、ギャバを多く含むじゃがいも、コエンザイムQ10を多く含むにんじんという3点
ベストセットを一緒に食べられるメニューだそうです。
これにグラス1杯の赤ワインをつけると、より強力な組み合わせになるとのことです。
ちなみに、カル二チンにはミトコンドリアの脂肪燃焼作用を助ける効果があり、ダイ
エットによいそうです。
最後に、やはりお酒は「このぐらいならいいだろう」と思っても、ついつい飲みすぎて
しまうものです。
私は週7日のうち、3日はアルコールを口にしないようにしているのですが、それでも昨年末にした血液検査では、γ-GTPの数値が基準値を少し超えてしまいました。
あなたも、お酒の飲みすぎにはくれぐれも注意なさってください。
(参考文献: 齋藤真嗣著「体温を上げると健康になる 実践編」 サンマーク出版)
[メルマガ 『ちょっと得する健康ニュース』 2013年1月号 記事]